「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」感想(実の妹編)

2巻の感想を書く前に、実の妹に1巻を読ませた際の感想紹介から行ってみたいと思います。
以下、妹による作品要素の分析*1です。

  • 作中序盤、主人公の口から「妹モノは無い」と語らせることにより、今日一つのジャンルを形成している「妹属性」そのものを(もちろん形式的にですが)否定する立場を押し出しておきながら、何故他の女性キャラは「幼馴染」「ゴスロリ」「メガネ」などのテンプレキャラになっているのか?

→この点については「実の妹がいる人間からすると有り得ない」という「条件付き否定」しか行われていないのだ、と考えれば説明はつく*2気がします。

  • 主人公が妹の趣味を許容する過程があっさりしすぎ。オタク趣味はキモい部分も沢山あり、元々毛嫌いしていたならばそこに嫌悪感を持つ過程があっておかしくないはずなのに、そこをすっ飛ばしてあっさりと許容しているのに違和感がある。

→これは物語の進行上やむを得ない気がします。まあ確かに「もう1波乱くらいあってから認められるようになる」という展開のほうが説得力は増したかも知れません。

  • 絵柄が文章と合わない。文章からは割としっかりとした「キレイ系の妹」が脳内にイメージできたのに、絵は明らかに「カワイイ系」である。

→これはまあ自分も同意します。かんざきひろ氏の絵自体は割と広い層に受け入れやすい、クセの弱めな絵柄で良いと思うのですが、本文中で描写されている妹像とは剥離が感じられるのは確かです。

  • 読み進めているとき、「どこが一番の盛り上がり場所なのか」というのが読み終わるまで分からなかった。具体的には、中盤の「妹が近い趣味を持つ友人を得た」という場所で妹自身の問題は大きな解決を見せており、その後に降って沸いたように描かれる「家族の理解」という箇所の盛り上がりが中途半端になってしまっており、「結局どこでカタルシスを感じるべきか」が分かり辛かった。

→これも概ね同意できます。確かに自分も「友人を得た」という部分のほうが「父親と話をつけた」部分よりも盛り上がる場所としては適切だと思ったので、後者の展開は蛇足に感じられました*3


というわけで、常日頃自分のことを「理屈っぽい」「何でも論理的に説明しようとし過ぎ」等と批判してくる妹ですが、いざ作品分析をさせてみたら、いつもの自分以上に冷静に作品分析をやってくるのは、さすが我が妹といったところでしょうか。


…ちなみに上では挙げませんでしたが、お約束として
「そもそもこの作品を実の兄が実の妹に勧めるって本当にどうよ?」というツッコミが飛んで来ましたが、
「いや…そのほうがネタとして面白いから…つい…(汗)」と返しておきました。

*1:箇条書き部分は妹の意見で、→以下は自分の意見です。

*2:妹だけが特別扱いされているわけではなく「結局そもそもみんなテンプレ属性キャラ」という意味です。

*3:ただその際「家族の理解」パートを削るだけではなく、多少「友人を得る」過程のエピソードに足す必要があると思われますが。