現時点における感想及び簡易システム考察

6月7日22時時点(プレー時間:約15時間)における感想を以下に述べます。

以下、長文注意です。
結論から言いますと、少なくとも現時点では「不思議のダンジョンシリーズにおけるWiiシレンの位置は、サガシリーズにおけるアンリミテッド・サガ、ティアリングサーガシリーズ*1におけるベルウィックサーガと似ている」と感じています。言い換えると、「既存シリーズのファンから評価されている・好まれている点を敢えて捨て、新しいゲームバランスに挑戦しており、その結果少なくないユーザーが失望するであろうと同時に、コアなユーザからは高い評価が出る作品」という方向性を感じた、ということです。


一般的には、やはり何と言っても(少なくともシレンシリーズでは採用されてこなかった)メインシナリオにおけるキャラクターレベルの引継ぎ要素に目が行ってしまう気がするのですが、実際にプレーしてみた感じ、個人的にはその部分は(少なくとも今のところ)全く気になっていません。
むしろ

  1. 複数キャラクターによるパーティープレイ前提のダンジョンと、ついに導入された「めいれいさせろ」
  2. 今までのシリーズとは趣を異にする新しいターン制

という2点のほうが重要な変更点だと感じています。

  • 複数キャラクターによるパーティープレイ前提のダンジョンと、ついに導入された「めいれいさせろ」

過去の同シリーズにおいては、基本的に操作可能なプレイヤーキャラクターは1人のみというのがずっと維持されていました。仲間キャラクターがパーティーに加わることはあっても、それは操作不能な「NPC」という形のみであり、精々出せる指示は「作戦」レベルのものだけでした。
今回のWiiシレンはついにこの不文律を破り、「複数のキャラクター全てをプレイヤーが操作可能」というゲームシステムを送り出してきたのです*2。このゲームシステムにおいては、「シレンが敵と近接戦闘しているあいだ、アスカが離れたところから回復の杖でサポートする」などといった連携プレーが全てプレーヤーの制御の下で行うことが可能なのです。

  • 今までのシリーズとは趣を異にする新しいターン制

複数キャラクターを操作することを前提*3としたゲームシステムになった関係で、ターン制についても変更が加わっています。基本的には従来のものとそう大差はないのですが、細かい点に注目していくと、いくつかの非常に重要な点で変更があることに気づきます。
(注意:以下、話を簡単にするために「通常速」「倍速」のキャラクターしか存在せず、かつプレーヤーの操作キャラクターが2人の場合に限定して説明します。)
従来システムの代表として「不思議のダンジョンシリーズ 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参*4」を挙げますと…アスカの場合、次のようにターンが進行しました。

アスカ、味方、敵共に通常速のみの場合
ア、敵、味→ア、敵、味→ア、敵、味→…

敵のみ倍速の場合*5
ア、敵+敵、味→ア、敵+敵、味→ア、敵+敵、味→…

アスカのみ倍速の場合
ア+ア、敵、味→ア+ア、敵、味→ア+ア、敵、味→…

つまり、「基本的にア敵味の順番であり、倍速になったら自分の番に2回行動できる」というシンプルなものでした*6


ところが、今回のWiiシレンでは次のように進行します。
(なお、対比のため主操作キャラクターを「ア」、副操作キャラクターを「味」と記述します。)

アスカ、味方、敵共に通常速のみの場合
パターンA(多くの敵はこのパターン)
ア、味、敵→ア、味、敵→ア、味、敵→…
パターンB(一部の敵のみこちらのパターン)
ア、敵、味→ア、敵、味→ア、敵、味→…

敵のみ倍速の場合
ア、敵、味、敵→ア、敵、味、敵→ア、敵、味、敵→…

アスカのみ倍速の場合
ア、敵、味、ア→ア、敵、味、ア→ア、敵、味、ア→…

このように例を書くだけだと、実際にどのように行動順が割り当てられているのかが分かり辛いかと思います。特に「パターンAとBの違いは何故生まれるのか?」という点が全く分かりませんし、その意味についても伝わらないかと思います*7
標語的な言い方で表すならば、パターンAとパターンBの差は「奇数ターンに行動するユニットと、偶数ターンに行動するユニットの差」と言い表すことができます。すなわち

  • 大多数の敵は「奇数偶数ターン」にのみ行動する。
  • 一部の敵は「偶数奇数ターン」にのみ行動する。
  • 倍速の敵は「奇数ターン」「偶数ターン」両方に行動する。
  • プレーヤーキャラクターは、主操作キャラクターは「奇数ターン」に、副操作キャラクターは「偶数ターン」に行動する。
  • 同じ「奇数ターン」の中では、「味方キャラクター→敵キャラクター」の順番で行動する。

とまとめられると思われます*8


ここまでの情報だけでもそれなりに複雑なターン進行になることが理解頂けたかと思うのですが…もう1つの要素「主操作キャラクターの切り替え」によって、このターン制はさらに複雑な模様を描くことになります。
Wiiシレンにおいては、現在パーティーに参加しているキャラクターの中から1人「主操作キャラクター*9」を自由に選ぶことができます。これだけなら上記の状況を複雑にすることはないのですが…「主操作キャラクターの行動入力中であれば、プレー中であっても任意に切り替えることが可能である」という1点が状況を難しく、かつ奥深いものにしています。すなわち、上のパターンBの例において、途中で主操作キャラクターを変更することで

パターンB
ア、敵、、敵、、敵、味→…

と行動順を変更でき、これによって「味方の同一キャラクターが(当該敵キャラクターに対しては)連続行動可能になる」というのが非常に面白いです*10。このシステムを最大限生かすことで、ダンジョン攻略を大幅に易化させることが可能です。


ただ…「レベル継続制の導入」など、新規参入者を増やそうとしている姿勢があちこちに見える*11にも関わらず、本質的なシステム部分において非常にマニアックな仕様に仕上がっているのにはアンバランスさを感じずにはいられません。


現時点での感想及びシステム考察については以上です。
とりあえずプレーしていて退屈さは感じていないので、当分続けることになる予定です。

*1:…と、ファイアーエムブレムシリーズ(汗)

*2:ドラクエのAIにおいて「めいれいさせろ」が導入されたのと状況的には酷似していますが、インパクトの大きさはシレンのほうが大きいです。ドラクエにおいては2、3の時点ではそもそも「めいれいさせろ」がデフォルトだったので、それを復活させただけに過ぎませんが、こちらは根本的な変更です。

*3:少なくとも初回スタッフロールまでは(恐らく)前提です。その後はわかりません。

*4:タイトル長い!なお、ターン進行例文中の「アスカ」はキャラクター名です。紛らわしくてすみません…。

*5:細かいことを言うと、移動と攻撃or特殊能力については分離して考えなければならないのですが、ここでは省略します。

*6:…多分(汗)。最近全く触れていないため、もし違っていたら指摘お願いします。

*7:実際に自分でプレーしている既存シリーズのユーザーは、恐らくこのAとBの差について疑問に思いながらプレーしているのではないかと推測します。

*8:これは現時点までプレーしながら解析した結果であるため、誤りが含まれている可能性がありますのでご注意下さい。(6月11日追記:一部修正しました。)

*9:ちなみに「主操作キャラクター」は、便宜上作成した自分の造語です。

*10:ベルウィックサーガにおいて、ターン最後に敵に隣接し、次のターンの初手で狙撃→再移動するのと似た感覚です。

*11:あくまで「見える」だけであり、「その方法が妥当だ」とはあまり感じない部分が殆どですが…。