トリックスターズ

魔法モノ×ミステリーという、わりと相性の悪い組み合わせに挑戦している物語ですが、個人的には非常に楽しめました。
ストーリとしては、ごく普通の学生である主人公と、世界に6人しかいないという「魔術師」の先生が事件に巻き込まれた際、どのように事件の謎を解決していくかを描くという、わりとよくあるタイプのものです。そのため、事件の謎自体もそれほど予想と違わぬものになるのかなと思っていたのですが…この作品は、ものの見事に自分の予想を(良い意味で)裏切ってくれました。これくらい派手に裏切ってもらえるならば、裏切られ甲斐(?)があるというものです。
ただ、不満点もあります。1つはキャラクターの名前です。物語上の必要性から、主要キャラクターの名前はあまり一般的ではない苗字と名前が使用されているのですが、そのせいで各キャラクターの名前が直観的に記憶に入ってきませんでした。これは各個人の記憶特性に依存する部分だと思われるため、誰でも同様に感じるかどうかは分かりませんが、少なくとも自分にとってはマイナス要素に感じられました。
もう1つはイラストについてです。絶対数が少なめで、かつ物語のシーンに合わせたイラストがないため、(名前が一般的でないキャラが多いことも相まって)キャラクターイメージを沸かせづらかったのが残念でした。
ただ、総合的にはとても楽しめた部類に入るため、続刊はいずれ読んでみたいと思いました。